温湿布と冷湿布はどちらが良いか?
1)はじめに
普段、筋肉痛や肩こり・ねんざ・腰痛等に湿布を使う方は多いかと思います。湿布には貼ると冷たい『冷湿布』と、温かい『温湿布』があります。患者さんからも「痛いところは温湿布と冷湿布どちらがいいですか」という質問を多くいただきます。では、どちらを使用する方がよいのでしょうか。
2)冷湿布
主に、打撲や捻挫など局所の腫れが生じる急性疾患に使われます。冷湿布にはハッカやメントール成分が配合されているため冷たく感じます。冷やすことにより局所の血管が収縮し、炎症を抑え、痛みをおさえます。しかし、若干の冷却効果があるとはいえ、冷たく感じるだけで、冷却効果はそれほどありません。したがって消炎鎮痛効果は期待できますが、局所の冷却には患部を氷嚢や氷枕で冷やしたほうが効果的です。
3)温湿布
主に、肩こりや腰痛、関節痛など慢性疾患に使われます。温湿布にはトウガラシ成分のカプサイシンが配合されているため温かく感じます。消炎鎮痛薬の効果と、温めることにより血管が拡張し、血液の循環がよくなります。しかし、温湿布には筋肉や関節の温度を劇的に変えるような作用はないため、局所を温めるにはホットパックなどを使用すると効果的です。
4)どのように使い分ければよいか
急性疾患=冷やす、慢性疾患=温めるのがよいと言われますが、基本的には湿布は冷やす、温める効果はさほどありません。どちらの湿布も消炎鎮痛剤を用いているので、薬としての効果は同じです。一般的には「どちらの方が気持ちが良いか」で好みで使い分けて良いと言われています。
5)最後に
湿布には温冷の他に材質やサイズなど様々な種類が存在します。患部の場所や症状によって使い分けて下さい。また、長時間貼ることや太陽の光による皮膚トラブルを生じることもありますので、整形外科の先生と相談しながら適切な処方をしていただいて下さい。