長嶋一茂さんの股関節手術、そして術後のリハビリテーション
1.長嶋氏の症状

元プロ野球選手で現在は野球解説者やバラエティー番組でご活躍の長嶋一茂さんが、股関節の手術を受けられたことが報道されていました。長嶋さんは現役時代から股関節に痛みを抱えており、引退後も徐々に症状が悪化していたそうです。
2.手術方法について

今回の手術は、変形性股関節症に対する人工股関節置換術であったと報じられています。変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減って痛みや可動域制限を生じる疾患です。人工股関節置換術は、傷んだ関節を人工の関節に取り替える手術です。人工股関節は、骨に固定する金属製のステムと、ステムの先端に取り付けられる骨頭(ボール)、および骨盤側の受け皿(ソケット)で構成されます。手術では、まず傷んだ関節を取り除き、大腿骨にステムを挿入し、骨セメントで固定します。次に、骨頭をステムに取り付けます。骨盤側は、傷んだ関節を取り除いた後、ソケットを挿入し、骨と密着させるために特殊な表面加工が施されています。
3.リハビリテーションの重要性

手術後は、リハビリテーションが非常に重要です。リハビリは、関節の可動域訓練、筋力増強訓練、歩行訓練などを中心に行います。術直後は、ベッド上での関節可動域訓練や筋力維持のための自動運動から開始します。徐々に歩行器や杖を使用した歩行訓練を進めていきます。リハビリの進行は患者さんの状態に合わせて行いますが、一般的には術後1~2日で歩行器歩行を開始し、その後、杖歩行や独歩へと進んでいきます。術後6週間程度で日常生活動作はほぼ自立し、3ヶ月程度で杖なし歩行が可能となります。ただし、完全な回復には6ヶ月~1年程度を要します。また、手術方法(侵入アプローチ方法)にもよりますが脱臼のリスクがあるため、脱臼肢位を考慮した日常生活動作の指導と理解が必要となります。
4.異常があれば早めの受診を

もちろん長嶋氏のように変形性股関節症の方がすべて手術となるわけではありません。早期から股関節の周りの筋肉の筋力増強を図り、関節可動域訓練や姿勢調整、歩行訓練により変形の進行を抑えることで日常生活を送られている方もいらっしゃいます。
股関節に痛みや違和感がある方、変形性股関節症でお悩みの方は、ぜひ一度整形外科を受診されることをおすすめいたします。当院でも変形性股関節症の診断と治療、そしてリハビリテーションを行っております。お気軽にご相談ください。