足のむくみの原因は?
はじめに
「夕方になると靴がきつい」「片足だけパンパンに腫れる」「押すとへこむ」――足のむくみ(浮腫)は多くの方が経験します。むくみというと心臓・腎臓・肝臓など“内科の病気”を心配されることが多い一方で、整形外科領域の問題が原因になっているケースも少なくありません。
特に、片足だけのむくみ、痛みを伴うむくみ、けがや手術の後に続くむくみは、早めの評価が重要です。
むくみがおこる病気
むくみは「血液やリンパの流れ」「血管から水分がしみ出す量」「体内の水分バランス」などが崩れたときに起こります。代表的な原因は次の通りです。
○内科的な原因(全身性に起こりやすい)
- 心不全:息切れ、体重増加、両足のむくみなど
- 腎機能低下:顔やまぶたのむくみ、尿量変化
- 肝機能低下/低栄養:全身のむくみ、だるさ
- 甲状腺機能低下:むくみ、寒がり、体重増加
- 薬剤性:降圧薬(Ca拮抗薬など)、ステロイド、ホルモン剤などでむくみが出ることがあります
○血管・リンパの問題(片側にも両側にも起こる)
- 深部静脈血栓症(DVT):急な片足の腫れ・痛み・熱感(放置すると肺塞栓のリスク)
- 下肢静脈瘤/慢性静脈不全:夕方悪化、だるさ、色素沈着
- リンパ浮腫:手術や放射線治療後、感染後などで起こることも
○整形外科領域でのむくみ
足のむくみは、骨・関節・筋肉・靭帯などの“運動器”のトラブルでも起こります。内科だけの問題ではありません。
1)けが(捻挫・打撲・骨折)後の腫れ
捻挫や打撲、疲労骨折などは、見た目が軽くても内部では炎症が続き、むくみが長引くことがあります。
「少しひねっただけ」でも、腫れが引かない・体重をかけると痛い場合は要注意です。
2)関節の炎症(変形性関節症・痛風発作・関節炎)
足関節や膝関節、足趾の関節炎では、関節内の炎症によって周囲がむくみます。
特に痛風発作は腫れと痛みが強く、歩けないほどになることもあります。
3)感染(蜂窩織炎など)
皮膚の小さな傷から細菌が入り、赤み・熱感・腫れ・痛みが急に出ることがあります。発熱を伴うこともあり、早期治療が重要です。
4)筋肉・腱の障害、使い過ぎ
ふくらはぎの筋損傷(肉離れ)やアキレス腱周囲炎などでも、局所の炎症や内出血でむくみが出ます。運動後に悪化する場合は整形外科的評価が役立ちます。
5)血栓・循環トラブルを見逃さない(整形外科でも重要)
手術後、長時間の安静、ギプス固定、長距離移動などは血栓リスクになります。
整形外科でも、DVT(深部静脈血栓症)を疑う所見があれば迅速に連携・検査が必要です。
むくみの対処、予防法
原因によって対処は変わりますが、日常でできる工夫と、受診の目安を知っておくことが大切です。
○日常でできるセルフケア(※強い痛みや急な腫れがあるときは無理をしない)
- 足を心臓より高くして休む(夕方のむくみに有効)
- ふくらはぎを動かす:足首の曲げ伸ばし、歩行で筋ポンプを使う
- 長時間同じ姿勢を避ける:デスクワーク中もこまめに立つ・足首を動かす
- 塩分の摂りすぎに注意(全身性のむくみがある方は特に)
- 弾性ストッキング:静脈うっ滞が疑われる場合に有効なことがあります(サイズや適応は医療者に相談を)
整形外科を早めに受診してほしいサイン
次のような場合は、「様子見」で悪化させないことが重要です。
- 片足だけが急に腫れた
- 痛み・熱感・赤みを伴う
- 歩くと強く痛む/体重をかけられない
- けがの後、腫れが引かない(数日たっても改善しない、むしろ悪化)
- ギプス固定中・手術後・長時間移動の後に腫れてきた
- しびれ、皮膚の色の変化(紫・白っぽい)がある
※息切れ、胸痛、突然の呼吸苦を伴う場合は緊急性が高いため、速やかな医療機関受診が必要です。
さいごに
足のむくみは、確かに内科的な病気が隠れていることもあります。しかし同時に、けが・関節の炎症・感染・固定や安静に伴う循環トラブルなど、整形外科で評価・治療すべき原因も多い症状です。
「いつものむくみ」と決めつけず、片足だけの腫れや痛み・赤み・熱感、腫れが長引くといったサインがあるときは、早めに整形外科へご相談ください。早期に原因を見極めることが、回復を早め、重症化を防ぐ近道になります。