前骨間神経麻痺、後骨間神経麻痺
【症状】
前骨間神経麻痺では母指と示指の第1関節が曲がらなくなりますが皮膚の感覚障害はありません。その時に母指と示指で丸を作らせると母指の第1関節過伸展(そり返り)、示指の第1関節過伸展となり、涙のしずくに似た形となり、“涙のしずくサイン”陽性になります。
後骨間神経麻痺では、下垂指(drop finger)になりますが、皮膚の感覚障害はありません。手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、指のみが下がった状態になります。
【病態】
前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経です。
前骨間神経は主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配します。後骨間神経は指を伸展する(伸ばす)いくつかの筋肉を支配します。両者とも皮膚を触った感覚には異常がないのが特徴です。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じます。
【治療】
骨折や脱臼などの外傷や腫瘤によるものは早期に手術が必要です。原因が明らかでないものや回復の可能性のあるものは保存的治療が行われます。3ヵ月~6ヵ月ほど様子を見て回復しないものや麻痺が進行するものでは、手術が必要になる事があります。
<肘関節の疾患>